発行人の生活と意見ー「奥付」に寄せて

terakoya_ar

『究極の贈りもの』、いかがでしたか。まだお読みになっていただいていない方には、是非ご一読をおすすめします。
 以前、話題になったテレビドラマ『天国にいちばん近い男』の原案と思わせるような筋立てに心躍らせ、熱い感動と快い読後感に深くひたれることでしょう。
 私もそうでしたが、この本を読むと、この本のことをだれかに知らせてあげたくなります。発行人としてはまさに手前みそになりますが、贈り物として最適な一冊であると自負しています。
 これからの読書の季節、あるいはクリスマスのプレゼントとして、あるいは成人式、 卒業、就職、そしてお誕生日のお祝いにふさわしい贈り物となることでしょう。
 本を開いて紙(見返しといいます)を一枚めくると、英文のタイトルが記されているぺージが出てきます(このぺージを化粧扉といいます)。その扉ぺージにはプレゼントの贈り先、贈り主、日時を書き込むことができるようにしてあります。そこにあなたと贈り先の方の名前を記入することによって、その本は世界で唯一のプレゼントに変身するという仕掛けです。
 本の最終ぺージには奥付(おくづけ)と称されるものが掲載されています。そこには発行日が記されているのですが(実際に見本ができてから約ひと月以内の範囲で出版社が適宜決めているものです)、『究極の贈りもの』の場合は10月10日としてあります。 ジョン・レノンの61回目の誕生日に合わせたものです。
「えっ、彼の誕生日は10月9日ではなかったか」ですって。おっしゃるとおり10月9日です。でもそれは、英国リバプールでの日時です。彼はリバプールの産院で、 1940年10月9日午後6時30分に誕生したとされています。つまりそれは、日本時間にすると10月10日午前3時30分ということになります。本物の(real)情報にこだわることを信条の一つとするグスコー出版としては、あえてリアルタイムのほうを選び10月10日としました。

 そんな彼の平和への想いを託した名曲『イマジン』がニューヨークでは当分のあいだ聴かれなくなるといわれています。同時多発テロの影響で戦闘モードに入った米国の国情にふさわしくないとの理由から、米国メディアに自粛する動きがあるからだそうです。ニューヨークを愛し、「武器を捨てろ。俺は兵隊になんかなりたくない」と 叫んだジョンが生きていたら、この状況を何と見たことでしょう。
 先日行われたテロ犠牲者追悼チャリティーライブで、ニール・ヤングが『イマジン』 を歌っていたことに胸を熱くしたのは、私だけだったのでしょうか。私たちはこうした時代だからこそ武器ではなく、ペン、活字、言葉の力を信じたい、と強く思います。

 『イマジン』はもちろんのこと、12月にはいつものようにジョンの『ハッピー・ クリスマス』(サブタイトルは「WAR IS OVER」)の歌声がニューヨークシティーのあちらこちらで聴かれるようになることを願ってやみません。